夏に給湯器から設定温度以上のお湯が出る理由 – 正常・修理・交換の判断基準

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夏にリモコンの設定温度より高温のお湯が出るのは正常?

給湯機から、あきらかに設定温度より高温のお湯が出てきたら驚きますよね。じつはこれ、夏場にけっこう発生する症状で、必ずしも給湯器の故障ではありません。

給湯器が正常である場合は、水道水の水温が下がると給湯温度も正常に戻ります。とは言え、故障が原因で起こっているケースもありますので、注意が必要です。

本記事では、夏場に給湯器から設定温度以上のお湯が出る理由や、正常・異常を確かめる目安をご紹介します。「最近、やけに熱いお湯が出る」とお感じの方は、参考にしてください。

夏に給湯器から設定温度以上のお湯が出る理由

水栓のお湯側をひねると、給湯器の内部に水が流れ込みます。給湯器はこの通水を感知して点火する仕組みになっていますが、水温がじゅうぶん高くても、通水すると(最小能力で)点火してしまいます。

ですから、水温がリモコンの設定温度より高いかそれに近い場合は、設定温度以上のお湯が出てしまうのです。

これを説明するのにわかりやすい数式が、給湯機メーカー・リンナイの公式サイトに載っています。ご紹介しましょう。

参考:夏期にリモコンの設定温度以上のお湯が出てきますが、故障ですか?

リンク先のリンナイQ&Aに載っている数式を少しアレンジして書くと、以下のようになります。

最低出湯温度 = 最小給湯能力(号数) × 25(定数) ÷ 出湯量(リットル/分) + 水温

なお、リンナイQ&Aによると「機種によっても多少の違いがありますが、給湯器の最小能力は約3号」とあるので、これを当てはめて使います。

では、例として「水温25℃、出湯量5リットル/分」の場合、何度のお湯が出てくるのでしょうか。試しに計算してみると以下のようになります。

最低出湯温度 = 3号×25÷5リットル+25℃ = 40℃

上述の条件では、設定温度にかかわらず40度のお湯が出てきます。つまり、設定温度を40度以上にしないと、設定より高温のお湯が出るということです。

ちなみに、上述の数式から「出湯量が少ない場合」と「水温が高い場合」に出湯温度が高くなることがわかります。

水温 出湯量 最低出湯温度の目安
20℃ 5リットル/分 35℃
10リットル/分 27.5℃
15リットル/分 25℃
30℃ 5リットル/分 45℃
10リットル/分 37.5℃
15リットル/分 35℃

もうひとつ。「強制循環方式」と呼ばれる追い炊き方法のお風呂では、循環アダプターのフィルターが詰まるとお湯が適温にならないことがあります。これが原因である可能性もあります。

参考:循環アダプターのお手入れ方法はどうしたらいいでしょうか(強制循環式の場合)

強制循環方式の浴槽は、追い炊き用の給水・吐水口が1つだけあります。給水口と吐水口がわかれ、穴が2つあるタイプは「自然循環方式」です。

ご自宅の給湯器が「強制循環方式」に該当しないか、確認してみるとよいでしょう。

夏場の給湯器のお湯が熱い場合のチェックポイント

つづいて、設定温度より高温のお湯が出る場合に、正常なのか異常なのか確認する方法をご紹介します。

さきほど記載した最低出湯温度を求める数式によると、入水温が下がるか出湯量が増えれば出湯温度も下がるはずです。ですから、以下の方法で異常がないか確認していただけます。

  • 水栓をいっぱいまで開いて、出す湯量を増やしてみる
  • 夜間や早朝など、水温が下がったときに試してみる

この2つを試していただいても、出湯温度が下がる気配がないなら故障かもしれません。一度、給湯器業者に依頼して点検してもらうほうが安心です。

故障は疑われる場合は、他にも症状が出ていないか確認しておきましょう。以下にあげるようなことが、起こっていないでしょうか。

  • 異音がする
  • リモコンにエラーコードが表示されている

湯温の他にも異常があるようなら、状態をメモに控えておいくとよいでしょう。修理を依頼するときに、役立ちます。

なお、給湯器の故障についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

ガス給湯器の調子が悪い!故障?寿命?原因と対処法

同じ温度設定でも、夏と冬では給湯量が変わる

夏と冬では、お湯の出方も違います。給湯量を求める数式がありますので、ご紹介しておきましょう。

1分間の給湯量 = 給湯器の号数 × 25 ÷ (設定温度 - 水温)

さて、24号の給湯器で40℃のお湯を作る場合、水温が20度のときと5度のときで給湯量はどれくらい変わるのでしょうか。

数式に当てはめて計算すると、以下のようになります。

  • 水温20度 ⇒ 30リットル/1分
  • 水温5度 ⇒ 17.14リットル/1分

水温が20度のときと5度のときでは、同じ40℃設定でも給湯量が倍近く違うのです。

夏は設定温度より高温のお湯が出やすく、冬に比べてたくさんのお湯を出すことができる」と覚えておくとよいでしょう。

給湯器の出湯温度が安定しない場合の対処方法と修理・交換の目安

夏は「給湯器が正常であっても、設定温度より高温のお湯が出ることがある」とご説明しました。

とは言え、給湯器のサーミスタ(温度センサー)や伝送基盤、リモコンなどが故障している可能性もゼロではありません。以下の症状をともなうなら、一度点検されることをおすすめします。

  • お湯の温度が安定しない
  • 触れないほど熱いお湯が出る

また、ご紹介した以下の方法を試してみて改善しない場合も、給湯器の故障が考えられます。

  • 水栓をいっぱいまで開いて、出す湯量を増やしてみる
  • 夜間や早朝など、水温が下がったときに試してみる

まんがいち部品交換が必要になった場合は、修理するか交換するか悩まれると思います。ひとつの目安として、10年以上使っている給湯器であれば交換を検討していただくとよいでしょう。

修理と交換の判断基準については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください

給湯器の修理はどこにお願いするのが安い?交換と修理の判断基準

給湯器の修理や交換を依頼されるときは、両方対応できる事業者を選ぶとよいでしょう。給湯器を扱う事業者の中には、交換はできても修理はできない業者もあります。

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給湯器の修理については以下で詳しくご説明しています。
給湯器の修理|どこに依頼するのが安い?故障のDIYは?【2021保存版】

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