エネファームは、家庭用燃料電池システムとして注目を集めている給湯器です。
高効率な発電と給湯を同時に実現し、省エネルギーと環境負荷の軽減に貢献します。しかし、その仕組みや特徴、他の給湯器との違いについては、まだ十分に理解されていない面もあるでしょう。
この記事では、エネファームの基本的な仕組みから、メリット・デメリット、エコキュートなど他の給湯器との比較、さらには導入や維持にかかる費用まで、幅広く解説します。
エネファームの導入を検討されている方はもちろん、より効率的なエネルギー利用に関心のある方は参考にしてみてください。
エネファームの購入・交換をお考えの方は「ミズテック」へ一度ご相談ください!
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目次
エネファームとは家庭用燃料電池
エネファームは、自分の家で電気を作ってお湯も同時に作る家庭用燃料電池です。
エネルギーとファーム(農場)の融合を表す名称のこと!
都市ガスや LPガスから水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させることで電気と熱を同時に生み出す革新的な発電システムです。このプロセスで生じる熱を有効活用し、お湯を沸かして、給湯などに応用しています。
高効率なエネルギー変換を実現し、家庭のエネルギー消費を減らすのと同時に、二酸化炭素排出量の低減にも貢献します。
エネファームはメリットも多いが向き不向きあり
ここではエネファームを導入するメリットを4つ紹介します。
詳しく見ていきましょう。
自宅で発電できるのでエネルギーを無駄なく使える
エネファームは、家庭内で電気と熱を同時に生成できます。
従来システムによる発電では、発電時に生じる熱の約4割が無駄になっていましたが、エネファームではこの熱を給湯や暖房に有効活用できます。
エネルギーの利用効率が9割まで向上し、ほとんど無駄なく使える!
また、電力需要のピーク時に自家発電すると、電力系統への負荷を軽減する効果も期待できます。
このように、エネファームは家庭におけるエネルギーの効率的な利用を実現するシステムといえるでしょう。
災害にも役立つ高い省エネ性をもつ
突然災害に襲われて停電になったとしても、エネファームが発電中もしくは蓄電池や発電機、車のバッテリーなどの外部電源があれば使用できます。
冷蔵庫や照明などの必要最小限の電力を確保できるため、災害時の生活の質を維持するのに役立ちます。
また、発電継続中はお湯の供給も安定するのでシャワーなどの使用に支障ありません。
省エネ効果も高く、二酸化炭素排出量を大幅に削減できることから、地球温暖化対策にも貢献する!
このように、エネファームは日常の省エネと非常時の電力確保を両立させる、環境性と防災性を兼ね備えたシステムとして評価されています。
特別なガス料金プランで光熱費を抑えやすい
エネファームを使用する方向けに、ガス会社は特別な料金プランを提供している!
たとえば、大阪ガスの「GAS得プランスマート発電料金」のプランでは、一般料金と比べて約34%お得になる可能性があります。
また、東京ガスでは「エネファームで発電エコぷらん」があり、年間を通じてさらに3%〜13%の割引です。
割引メニュー | 割引率(1ヶ月の上限) |
---|---|
バス暖割 | 冬季:3%(2,619円) その他:3%(2,619円) |
床暖割 | 冬季:割引なし その他:10%(7,857円) |
セット割 | 冬季:3%(2,619円) その他:13%(10,476円) |
ガス使用量は増えますが、エネファーム専用の料金プランを適用すると光熱費の上昇を抑えやすくなります。
購入時には補助金も適用できる
エネファームの普及促進のためにさまざまな補助金制度を設けています。たとえば給湯省エネ2024事業では、18万円/1台で補助金を出しています。
補助金制度を活用すると初期費用を抑えやすくなる!
ただし、一般社団法人燃料電池普及促進協会(FCA)が公表する「登録機器リスト」に記載のある製品が対象です。
補助金の内容や申請条件は地域や時期によって変動することがあるため、最新の情報を確認してください。
また、予算上限に達し次第、交付申請の受付を終了するため、悩んでいる方は早めに検討しておきましょう。
エネファームが普及しない理由とは?デメリットを確認
エネファームは災害時にも役立つうえ環境にもいいですが、なかなか普及しない状況が続いています。
ここでは、なぜ普及しないのかを探るため、エネファームのデメリットを紹介します。
- 設置には広いスペースが必要でマンションだと難しい
- 初期費用(本体価格)が高め
- パーツや仕組みが複雑で他の給湯器に比べて故障が多い
- 稼働音が気になる場合もあり近隣への配慮が必要
- 発電および暖房にはガスが必要でオール電化には非対応
- 自家発電しても売ることはできない
詳しく見ていきましょう。
設置には広いスペースが必要でマンションだと難しい
エネファームの設置には比較的広いスペースが必要!
たとえば、パナソニック製のエネファームの場合は以下のサイズです。
- 高さ1650mm
- 幅790mm
- 奥行350mm
設置後はメンテナンススペースも必要になるため、さらに広い面積が求められます。
そのため、戸建て住宅での導入が推奨され、狭小住宅やマンションでの設置は困難な場合が多いのが現状です。
設置可能なスペースに合わせた給湯器の選定をしたい方は「ミズテック」までご相談ください。
初期費用(本体価格)が高め
エネファーム導入の障壁となる要因の一つに、高額な初期費用が挙げられます。
エネファームの本体価格は機種や能力によって異なりますが、一般的に従来型の給湯器と比較して初期費用が高くなります。
以下に、主要なエネファームモデルの本体価格をまとめました。
メーカー | 本体価格(目安) |
---|---|
パナソニック | 90万円〜110万円程度 |
アイシン | 100万円〜130万円程度 |
京セラ | 190万円〜240万円程度 |
補助金適用前の金額であり、実際の購入時には各種補助金制度の活用により負担を軽減できる可能性があります。
しかし、依然として従来型給湯器と比較すると高額であり、導入を躊躇する要因となっています。
パーツや仕組みが複雑で他の給湯器に比べて故障が多い
エネファームは、従来の給湯器と比較して故障のリスクが高いとされています。
故障が多いと言われる要因は以下のようなものが挙げられるでしょう。
- 燃料電池スタックの劣化
- パーツや仕組みの複雑さ
- 電子制御システムの精密さ
- 定期的なメンテナンスの必要性
これらの要因により、エネファームは従来の給湯器と比較して故障の頻度が高くなる傾向にあります。
10年経過するまでは無償で点検や修理できますが、10年以上経つと点検や部品交換費用は10~30万円ほどかかるので注意しましょう。
稼働音が気になる場合もあり近隣への配慮が必要
エネファームの運転時には、発電ユニットや給湯ユニットから一定の稼働音が発生する。
機器の作動に伴う自然な現象ですが、設置場所や周囲の環境によっては気になる場合もあるでしょう。
夜間や早朝の静かな時間帯に運転する場合、これらの音が近隣住民に影響を与える可能性があります。
エネファームを設置する際は、隣家との距離を考慮し、騒音が伝わりにくい位置を選んだり、壁や床からの反射音を抑えるため、開放的な空間に設置したりしましょう。
発電および暖房にはガスが必要でオール電化には非対応
エネファームは、都市ガスやLPガスを燃料として使用するシステムで、ガスから水素を取り出し、この水素と空気中の酸素を反応させて発電を行うというものです。
発電過程で生成される熱は無駄にすることなく温水製造に活用され、給湯や暖房に利用されます。
電気と熱を同時に生み出し、効率的にエネルギーを活用でき、環境面でも従来の発電方式と比べてCO2排出量を大幅に抑制できるメリットがあります。
ただし、システムの稼働にはガス供給が不可欠なため、オール電化住宅では利用できません。
自家発電しても売ることはできない
エネファームによって生成された電力は、基本的に自家消費のみに限定されており、余剰電力を電力会社に売却できません。
自家発電をして太陽光発電のように売電収入を得たいと望んでいる方からしたら、大きなデメリットとなるでしょう。
ただし、ガス会社によっては余剰電力を売電できます。たとえば大阪ガスでは、「エネファームtype S」で発電した電気のうち家庭で使わなかった電気であれば買い取ってくれます。
ネファームの余剰電力買取サービスは、すべての地域や事業者で提供されているわけではないため、注意しましょう。
エネファームとエコキュートの違いは?どちらがお得かも紹介
エネファームとエコキュートは、共に高効率な給湯システムですが、仕組みと特徴には大きな違いがあります。以下の表で主な相違点をまとめました。
特徴 | エネファーム | エコキュート |
---|---|---|
燃料 | 都市ガス・LPガス | 電気 |
発電 | 可能 | 不可 |
仕組み | 燃料電池による発電と給湯 | ヒートポンプによる給湯 |
寿命目安 | 15~20年 | 10年 |
初期費用 | 150〜200万円程度 | 30〜70万円程度 |
エコキュートは、大気中の熱を利用して効率的に温水を作り出すヒートポンプ式給湯器です。電気のみで動作するため、オール電化住宅に適しています。
一方、エネファームはガスを使用し、発電と給湯を同時に行える点が特徴です。
どちらがお得かは、家庭の電気・ガス使用状況や住居の条件によって異なるため、個別に検討する必要があります。
エネファームがおすすめな人
以下のような特徴を持つ家庭にとって、エネファームの導入がおすすめです。
- オール電化ではなくガス使用量が多い
- 災害に備えたい
- 戸建て住宅に居住している
- 環境への配慮を重視している
現在のガス利用を継続しながら、より効率的なエネルギー活用を目指す方にエネファームは適しています。設置時の費用は決して安くはありませんが、床暖房などの熱需要が高い家庭では、長期的な視点で見ると光熱費の大幅な削減が期待できます。
また、災害時のエネルギー確保という観点からもおすすめの選択肢です。自家発電機能により、突発的な停電時でも電力供給が維持できるため、防災対策もできます。
エコキュートがおすすめな人
以下のような特徴を持つ家庭にとって、エコキュートの導入がおすすめです。
- 初期投資を抑えたい
- オール電化住宅に居住している
エコキュートはエネファームと比較して、半分以下の費用で導入できます。そのため、初期費用を少しでも抑えたい人にとっては、エネファームよりもエコキュートがおすすめです。
また、そもそもオール電化であればエネファームは活用できません。オール電化の家庭で、光熱費を節約したい家庭であればエコキュートの導入を検討してみてください。
エネファームの購入・修理・交換を検討中なら給湯器のプロへ相談
エネファームの導入や既存システムの修理・交換を検討されている方は、給湯器のプロへ相談しましょう。
エネファームは高度な技術を要する複雑なシステムであり、選定や導入には専門的な知識が必要です。
プロに相談することで、以下のようなメリットが得られます。
- 最適な機種選定
- 正確な見積もり
- 補助金情報の提供
- 適切な設置場所の提案
- アフターサポート
ミズテックでは、豊富な経験と専門知識を持つ給湯器のエキスパートが、お客様のニーズに合わせた最適なソリューションを提案いたします。
エネファームに関する疑問や不安を解消し、安心して導入いただけるよう、きめ細やかなサポートを提供していますので、気軽にご相談ください。
エネファームの寿命は15~20年!10年過ぎたら総点検が必要
エネファームの一般的な寿命は適切なメンテナンスを行った場合、15~20年程度です。
給湯システムは20年という長期使用で性能低下が避けられず、設備の入れ替えを検討する時期となります。
また、購入から10年経過すると、総点検が必要です。点検では、部品の破損や故障を確認し、必要に応じて部品交換が行われます。
ただし、使い方を誤ると総点検前の10年未満で機能停止になる可能性もあります。長く効率的に使い続けるためには、専門業者による定期点検を欠かさないようにしましょう。
加えて、凍結予防や水抜きなどの基本的なメンテナンスは定期的に実施してください。
エネファームの修理・交換にかかる費用相場を工事費込みで紹介
エネファームの修理や交換にかかる費用相場を見ていきましょう。
まずは以下の表にまとめました。
項目 | 費用相場(税込・工事費込み) |
---|---|
修理 | ・外装・水漏れ・配管の詰まり:1~10万円 ・発電機能の修理:10~30万円 |
交換 | ・エネファーム→エネファーム:150~200万円 ・別機種→エネファーム:15~40万円 ・エネファーム→エコキュート:30~70万円 |
それぞれの内容で詳しく解説していきます。
修理費用の目安
エネファームの修理費用は10~30万円が相場です。
詰まりや水漏れであれば数万円で修理できるケースもありますが、使用年数が経過している場合には10万円以上の費用がかかるケースが多いです。
これらの費用は目安であり、実際の修理費用は機種や故障の状況、部品の在庫状況などによって変動します。
定期的なメンテナンスを行うことで、大規模な修理を回避できる可能性があります。
交換の費用目安
エネファームの交換費用は、交換前後の機種や工事の難易度によって異なります。
以下に主な交換パターンとその費用目安をまとめました。
交換パターン | 費用目安 |
---|---|
エネファームからエネファームへの交換 | 150万円~200万円 |
他の給湯器からエネファームへの交換 | 180万円~230万円 |
エネファームからエコキュートへの交換 | 60万円~100万円 |
実際の費用は機種の選択や工事の難易度、地域性などによって変動する可能性があります。
また、各種補助金の適用により、実質的な負担額が軽減される場合もあります。
エネファームに関してよくある質問にプロが回答!
ここではエネファームに関するよくある質問に回答していきます。
詳しく見ていきましょう。
エネファームが故障したかもと思ったらどうすればいい?
エネファームの故障が疑われる場合、まずはリモコンに表示されているエラーコードを確認してください。エラーコードを確認できたら、取扱説明書を参照して、エラーコードに応じた対処方法を試してみましょう。
これらの対応で問題が解決しない場合やエラーコードが不明な場合は、ガス会社へご連絡ください。専門家による診断と適切な対応が必要となる可能性があります。
安全性を考慮し、自己判断での分解や修理は避け、専門家のアドバイスを求めましょう。
エコウィルとエネファームはどう違う?
エコウィルとは、発電と給湯の両方を行える給湯機器のことです。ガスエンジンによって発電を行っています。
エコウィルで発電を行う仕組みは以下の通りです。
- ガスエンジンを使用してガスを燃焼させる
- 熱が発生したらタービンを回転させる
- タービンが回転したら発電機が電気を発生させる
エネファームもガスを燃料として発電を行う機器ですが、燃料電池で発電を行う点が異なります。
エコウィルは2017年に販売終了しています。買い替えを検討している方はエネファームやエコキュートがおすすめです。
エネファームの維持費(ランニングコスト)はいくら?
エネファームの1年間の維持費(ランニングコスト)は、以下の表のとおりです。
内訳 | 費用 |
---|---|
ガス代 | 152,130円 |
電気代 | 74,570円 |
メンテナンス代 | 10,000円 |
メンテナンス代について、10年間は無償で定期点検し、故障しても期間内なら無料で修理対応が可能ですが、11年目からは有償となるため、年間の平均を概算で算出しています。
エネファームの導入により、電気代とガス代の合計が削減される傾向にありますが、実際の削減額は家庭のエネルギー使用パターンによって異なります。
長期的な視点で見ると、初期投資は高いものの、ランニングコストの削減により、徐々に経済的メリットが現れてくると言えるでしょう。
エネファームをお得に使って快適に生活しよう
エネファームは高効率な発電と給湯を同時に実現するシステムです。初期投資は比較的高額ですが、長期的には光熱費の削減や環境負荷の軽減といったメリットをもたらします。
しかし、その効果を最大限に引き出すためには、適切な選択と運用が不可欠です。
エネファームの導入を検討する際は、以下の点に注意しましょう。
- 家庭のエネルギー使用パターンに合った機種選択
- 適切な設置場所の確保
- 各種補助金制度の活用
- 定期的なメンテナンスの実施
これらの要素を適切に管理することで、エネファームの性能を最大限に発揮し、快適で経済的な生活を実現できます。
エネファームに関する疑問や不安がございましたら、豊富な経験と実績を持つ「ミズテック」にぜひご相談ください。私たちがお客様の快適で効率的な生活をサポートいたします。